昭和初期の旧店舗 宮内省御用の時に撮影したものです。

写真の人物は、10代目高野作重(故人)

からすみ

■からすみの生みの親

takanoyaime02弊社「高野屋」の創業は延宝三年。
「からすみ」一筋に340年にも及ぶ歴史のある老舗です。

「からすみ」はギリシャ・エジプトに産し、古くより塩漬けとして食膳に上がっていました。

日本には承応年間(1655年頃)約340年前、長崎に伝来してきましたが、当時は鯔(ぼら)ではなく、鰆(さわら)の卵で作られておりました。

鯔(ぼら)の卵で製造したのは弊社の先祖が初めてで「からすみ」の生みの親ということになります。

その後正徳二年(1712年)より、長崎奉行を通じ、宮中及び将軍家を初め、食通の愛用品として需要され、
その名声が知られて天下の珍味として上戸党の好まれ今日の名声を博している次第です。

「からすみ」は加工品ということから、食べ方も様々、通常は切り身で酒の肴として食しますが、
他にも「からすみほぐし」という商品は、こんがりと焼かれパウダー状にしてありますので、
からすみスパゲティにするのも美味です。

 

■現在も変わらぬ製法
takanoyaime08住まいを兼ねた工場では、今も毎日、『からすみ』の製造に多くの時間を費やしています。屋上には、木の台に置かれた板にズラリとからすみが並んでいます。飴色のものから茶色のものまで大きさも様々です。

社長はこう言います。
「朝出して干して、2時間毎に返していきます。夕方の3時間か4時間には引っ込めます。
小さいので1週間ぐらい、大きな物だと10日間ぐらいかかりますね。」と。
からすみの琥珀色に輝くあの美しさはこの日々の社長自らが行われる工程と自然の陽光をたっぷり浴びた賜物なのです。からすみの原料は、ぼらの卵、漁師から塩漬けされたものを仕入れ、これに更に塩を足して、1週間以上塩漬けにして、1日かけて塩抜きをします。
塩は岩塩を粉砕したものを使用し、塩抜きはひとつひとつを丁寧に水の中で卵の皮膜に着いた余分なものをはぶき、板に並べて一晩重しをかけて整形し干します。
「一つの工程に費やす時間は約20日かかります。一番の苦労は塩抜き。塩を抜き過ぎると乾きが遅くなり味もよく出ない。抜き方が少ないと辛い。ウチのからすみは昔ながらの味がすると喜ばれている。それはこの塩抜きにあると思いますね。塩抜きで味が変わる。
その按配はやはり長年のカンですね。」

 

■からすみメモ
takanoyaime09蜀山人

●本名/大田南畝(1749~1823)
●江戸時代/文政年間の狂歌作者

長崎奉行所へ勘定方として赴任された当時に「からすみ」が非常の好物にて弊社の為に特に上記の狂歌を作られ、弊社の家宝として現在まで保存されています。
掛軸の大意
『玉の浦に住める人ざれ歌よみてたまれと名を乞ふままに、
所から野母のからすみと名づくとて、
味わいは和歌も狂歌も一双の筆とりてすれ野母のからすみ』